2013-09-15

書評: Web 制作者のための Sass の教科書

ベタ塗りピンクが目印の Sass 本、「Web制作者のためのSassの教科書」を著者の平澤さん、森田さんより頂戴しました。

Web 制作者のための Sass の教科書

電子書籍としては過去に Gihyo Digital Publishing より 「Sass入門 ~より効率的なCSSコーディング」が出版されていますが、紙の書籍(なんか変な表現だな)としては日本初とのことです。
10月には電子書籍版も出版予定とのことなので、電子書籍派の方はこちらも注目しておきましょう。

2013年10月7日追記: Kindle 版が販売開始したようです。

Web制作者のためのSassの教科書は、サポートサイトが開設されており、正誤表や、目次、第1章の試し読み PDF、各章ごとの参考リンク集が公開されています。
アプリのアップデートなど、紹介されている内容に変更がある場合などには Facebook ページのほうでも投稿があると思うので、Facebook ページに「いいね」しておくと情報がキャッチしやすいと思います。

Web制作者のためのSassの教科書 – 公式サポートサイト
Web制作者のためのSassの教科書 の Facebook ページ

内容について

Web 制作者のための Sass の教科書は全8章からなっており、読み終えればひと通りのことができるようになっています。
前半は、Sass で何ができるか、Sass の環境構築・基本機能の説明。後半は、実務で使う上でのアイディアやヒントなどが書かれています。

筆者の平澤さんは5章を、森田さんは6章、7章を特に読んでもらいたいとのことです。
いずれも筆者のお二人が実務で使った上での経験が盛り込まれた章となっているので、実際に使い始めてから読み返すとまた面白い発見ができる章になるはずです。

Sassの教科書で一番読んで欲しいところ。 – CSS HappyLife
Sassの教科書で読んでほしいところ、その2。 | Sou-Lablog

著者お二人の思いについては上の2つのリンクから全文が読めます。
以下は平澤さんの記事から引用。

ここで載っているネタは、その殆どが実際にボクが仕事で使ってたりするんで、かなり実践向けだと思います。
これからはじめる方だけじゃなく、「少しSassを触ったけどイマイチ使いこなせてないなー」って感じてる方にも最適な内容になってるかなと思います。

単純な記述情報だけでなく、実務での経験が詰め込まれているというのは、初学者にとってありがたいことです。
自分の作業を思い返して、「あの案件で使ったら便利そうだな」のようにイメージしながら読み進めると、より理解しやすいと思います。

読み終わった感想

僕自身は今まで Sass に対してそこまで興味がなかったんですが、次回の案件(もしくは個人的な制作)で使ってみようかなという気持ちになりました。
ここらへんについては、使いながら小ネタとして記事を書く予定です。
CSS をパズル的に楽しめる人には、特におもしろい道具になるんじゃないかと思います。

書籍の内容は、すごく難しいというものではないです。
具体的なコードと結果、間違えやすいところが書かれているので、読みながら実際に挙動を確かめていくという方法で読み進めるのがよいかなと思います。
本当に難しいのは、実際の制作時にうまく取り入れ、自分なり、所属組織なりの活用方法を探っていくことのように思えます。

初めて Sass に触れる場合は特に、一度読んだだけで完全に理解するのは難しいかもしれません。
どの言語もそうだと思いますが、一度で理解するというよりも、まずはどういうことができるかを知るところ。
何度か読みながら作業してみたり、体に染み付くまでリファレンスとして手元に置いておくといいかなと思います。

また、内容の紹介にも書かれていますが、HTML や CSS についてある程度の知識がないと、読んでもあまり意味は無いかなと思います。
意味が無いと言ってしまうと怒られてしまうかもしれませんが、なぜこういうものが必要とされているかというところが分からないと、そもそも興味が沸かないのではないかと思います。

if 文や for 文、round()、floor() のようなものも出てくるので、HTML と CSS だけじゃなく、JavaScript や PHP などに触れたことがあるほうが理解は速いかなと思います。
Sass に興味があるけど JavaScript や PHP を全く触ったことないという方は少ないとは思いますが。

最後になりましたが、今までよりも効率のよい方法を模索している方、Sass の具体的な活用方法を知りたいと思っている方にとって有益な書籍になると思います。
サブタイトルには「これからのWebデザインの現場で必須のCSSメタ言語」とあります。
Sass に限らず、こういったツールを用いて効率化を図ること、もしくは効率化のためにこういったツールを取り入れていくことは、とても大事なことだと改めて思いました。